通信販売に関する規制

少ない資本で容易に参入できるバーチャルショップには、ビジネスチャンスがあります。このようなネット上のビジネスを規制する法律はあるのでしょうか。インターネット上での物品売買は通信販売に該当します。この通信販売に関する規制は、なぜか「訪問販売法」に規定されています。インターネットで商売を始めるには、訪問販売法の知識が不可欠です。

インターネットビジネスと妨間販売法

「代金を支払ったのに商品が届かない」「注文と違う品物が送られてきた」など、インターネットでの売買に関連するトラブルが多発しています。インターネット上での売買は匿名性が高く、参入障壁が低い、などの理由で、個人でも簡単に店舗を開設できる一方、撤退も容易です。
これは長所でもあり、短所でもあります。売るにせよ買うにせよ最終的には自己責任、慎重な姿勢が必要です。

さて、インターネット上の商売を規制する法律ですが、今のところ存在しません。ただし、インターネットは治外法権ではありませんので、一般の商売と同じ法律の規制を受けます。懸賞を実施するなら「景品表示法」、薬品などの販売には「薬事法」、中古品の売買には「古物営業法」の規制をそれぞれ受けます(たばこ小売販売、酒類販売、旅行業も同様です)。

つまり「リアルな世界で許可されていないビジネスは、バーチャルな世界でも認められない」のです。インターネット上での物品の販売は、「通信販売」に該当します。

「通信販売」とは、販売者と購入者が直接顔を会わせか-で、郵便などによる申し込みにより成立する商品売買契約またはサービス提供契約です。この通信販売に対する規制は「訪問販売法」に規定されています。通信販売に対する訪問販売法上の規制と罰則は、以下のように規定されています。なお、訪問販売法では、通信販売はクーリングオフを強制されていません。

  1. 広告規制一般
    罰則なし
  2. 誇大広告禁止
    50万円以下の罰則、業務停止命令
  3. 承諾などの通知義務
    50万円以下の罰則、業務停止命令

しかし、通常の通信販売では、返品を認めている例が多数あり(営業政策によると思われます)、一般消費者はクーリングオフができるものと誤解しているようです。出店者は返品を認めないのであれば、「返品不可」などと明記しておく必要があります。

出店者の違法行為とモール運営者の責任

電子モールを作り、他の業者が出店して商品を販売する場合の、モール管理者にはどのような場合に責任を負うのでしょうか。モール運営者が出店者の取引に起因して賠償責任を負う法的根拠となる規定としては、(1)商法23条(名板貸責任)と(2)民法715条(使用者責任)があります。

名板貸責任とは

「名板貸(ないたがし)責任」とは、営業の主体を混同させるような外観が存在し、営業主体として誤認されている者がその外観を作り出したことに責任があるのであれば、その外観を信用して取引をしたものに対しては責任を負うべきであるという考えです。

「名板貸責任」を考えると、外観上、営業主体を区別できるようにし、かつ、「使用者責任」の回避のために、出店者との出店契約を実質的な指揮監督関係を持たない単なる場所貸しの体裁とするのが、リスク回避のための最も良い手段のように思われます。

しかし、まったく管理をしなければ、モールはいい加減な出店者で溢れ、客の立ち寄らないモールになりかねません。ビジネスとして長期的にモールを運営していくためには、ある程度の管理は必要と思われます。これにより、出店者の不法行為はかなりの確率で防止できるでしょう。なお、出店者の管理のための方策として、上の表のような内容をチェックしておく必要があるでしょう。

インターネットで懸賞を

インターネット上での商品の販促活動やホームページのアクセスカウントを上げるには、バナー広告を掲載するなどいろいろな方法がありますが、なかでも懸賞付きのキャンペーンは有効です。「懸賞(くじ引き)」を規制する法律には、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」と「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)」があります。

この景品表示法・独占禁止法は、懸賞一般を禁止しているのではなく、「不公正な取引方法」や「不当な顧客の誘引」を規制しており、これらの法が禁止していない範囲内で実施する分には問題はありません○景品表示法・独占禁止法によると、規制の対象となる「懸賞」は、上の3種類です。景品類の最高額は、取引に付随して提供されるか否かによって、変わってきます。「1.クローズド懸賞」と「2.オープン懸賞」での上限額の違いは、「取引に付随」して過大な景品付き販売が行われると、消費者は商品の価格や品質ではなく、景品目当てに商品を選択するようになりがちだからで、またオープン懸賞は、応募者を商品の購入者などに限定せず、だれでも応募できることから、上限が高くなっています。人間は、自分に有利なようにと解釈しがちです。「取引に付随」しているか否かの判断は非常に微妙ですから、インターネット上で懸賞を始める前に、公正取引委員会に問い合わせることをお勧めします。

プロバイダにも関係がある風営法

今まで刑法以外では取り締まりの対象とならなかった、インターネット上のアダルト関連サイトの運営に、「風俗営業適正化法」(いわゆる風営法)という法の網が被せられました。ポイントは2つ。1.映像送信型性風俗特殊営業に対する規制と、2.自動公衆送信装置設置者の努力義務です。

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