インターネットの知的財産権から著作権、肖像権、パブリシティ権

数ある知的財産権法で、異彩を放っている法律が、「著作権法」です。この法律は「個人の利益」を保護し「文化の発展」を目的とする「文化系」の法律です。

著作権

著作権法とは、小説や論文、脚本、映画、音楽、絵画、写真などの思想または感情を創作した「表現」を保護する法律です。人まねのような創作性のないものや、自分のアタマのなかに存在するだけで、他人にわかるように表現されていないもの、単なる事実の報道などは著作権法の保護対象にはなりません。また、次のものはプログラム著作物には該当しません。

  • プログラム言語
    BASICやCなどのプログラムを表現するための体系。ただし、BASICやCなどの「コンパイラ」はプログラム著作物に該当する
  • プロトコル
    特定のプログラムにおける特別の約束ごと
  • アルゴリズム
    プロプログラムにおけるコンピュータに対する指令の組み合わせ方法。ただし、アルゴリズムは特許法で保護される

著作権は、権利を取得するためには出願も登録も必要ありません。創作した時点で自動的に権利が発生します(ちなみに特許権の場合は、発明の内容を記載した書類を特許庁に提出し、審査を受けなければなりません)。著作権者の権利は、「著作者人格権」と「著作財産権(狭義の著作権)」に分けられます。「著作者人格権」は著作者の人格を保護するもので、譲渡することはできません。

著作者人格権には、1.公表されていない著作物を公衆に提供・公示する「公表権」、2.公表するときに実名やペンネームを著作者名として表示するか、または表示しないかを選択できる「氏名表示権」、3.著作物の内容やタイトルを、自己の意思に反して変更・切除・改変させない「同一性保持権」の3 つがあります。プログラム著作権については、その特性から、1.特定のコンピュータで利用できないプログラムを利用できるように改変する場合や、2.より効果的に利用できるようにする場合には、同一性保持権は制限され、改変が認められます。

「著作財産権」は契約によって第三者に譲渡できる財産権であり、複製権、貸与権、翻訳権、翻案権などがあります。なお、これらの権利はよく「枝分権」と呼ばれます。つまり、著作権と一般に呼ばれている権利は、実は公表権や氏名表示権、複製権や貸与権というたくさんの権利の束で構成されています。
著作権法では、プログラムなどの相手の著作物を「模倣」した(俗にいう「バクった」状態)場合にだけ権利の侵害になります。相手のプログラムの存在を知らずに、独自に創作したものであれば、それが同一・類似であっても権利の侵害にはなりません。

著作権法におけるインターネット

インターネットの普及に合わせて、「公衆送信」という概念を新しく設けて、混乱していた「インタラクティブ送信」に関して整理されました。公衆送信とは、たくさんの人によって受信される電気通信の送信を行うこと(放送、有線放送、自動公衆送信など)を指し、インターネットのホームページなどで、要求に応じて自動的に行う送信を「自動公衆送信(いわゆるインタラクティブ送信)」と定め、インターネットによる情報の送信を、放送などと同じ権利として認められています。
この自動公衆送信権には「送信可能化権」が含まれます。これは、たとえば著作者がwwwサーバーにコンテンツを登録して、パソコンの端末からアクセスできる状態にすることの権利です。したがって、他人の著作物を勝手に登録するだけで(たとえ実際にアクセスがなくても)、著作者の「送信可能化権」を侵害することになります。

ソフトウエアの違法コピー問題について

ソトウェア著作権協会(ACCS)が、ソフトウェアの違法コピーに関する教育、啓蒙、情報収集および法的手続を行っています。情報収集活動のために、「違法コピーホットライン」が設置されていますが、通報の大部分は企業の従業員、元従業員、取引先、流通業者からの内部告発です。

違法コピーを使用することは、ベンダーからサポートやバージョンアップを受けられないだけでなく、不法行為に基づく民事上の損害賠償や、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑事上の制裁を受けます。また、企業内違法コピーが明るみに出ると、社会的信用の失墜、企業倫理、社員のモラルなど、企業としての根幹を揺るがしかねません。
ソフトウェアの管理を確実に行えば、企業内違法コピーのほとんどは防止できます。もちろん、企業にはいろいろな人間がいますので、どんなに管理をしても、違法コピーをする従業員が出てくる可能性はあります。しかし万一違法コピーが発覚しても、管理台帳を作るなど適切な管理体制があると、管理責任を果たしていたという抗弁ができます。企業が問われるのは「適切な管理をしていたか否か」という点がポイントです。

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