インターネットの知的財産権、特許法、商標法

知的財産権法の中でも、よく知られている法律が「特許法」です。しかし、この特許法、意外とその実体が知られていません。中でもソフトウェアの権利保護に関しては、どのように扱われているのでしょうか。

意外と理解されていない特許法

その昔、師匠から弟子に秘伝として伝えることで、すべての技術を機密情報として保護していた時代がありました。もちろん、清涼飲料水の香料配合のように営業秘密として保護するのも大事な企業戦略ですが、すべての技術を秘密にすると、社会全体の産業の発達は望めません。
特許制度は、すぐれた発明を公開することで社会全体の技術レベルを引きあげ、発明者にはその見返りとして、その発明を一定期間独占的に実施できる権利を与えて、両者のバランスをとっています。わが国の特許法は、発明を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義しています。

特許を出願するには

特許権を取得するためには、特許庁への出願手続きが必要で、自分が努力して権利を勝ちとらかナればなりません(権利が自然発生する著作権法と大きな遠いです)。特許出願は、特許庁の厳しい審査をパスしかナれば、特許権を取得できません。審査は、その発明が、次の条件(特許要件)をクリアしているかについて判断されます。

  1. 産業上利用できること
  2. 新規性があること
  3. 進歩性があること
  4. 他人より先に出願すること

特許権者は、第三者に実施を許諾して実施料を徴収したり、その権利を譲渡することができます。逆に、他人の特許権を侵害すれば、損害賠償を要求されることもあります。

著作権の場合は、模倣した(盗んだ)場合にだけ権利侵害になり、独自に創作したものであれば、それが同一・類似であっても権利の侵害にはなりませんが、特許権の場合は、模倣したのではなく独自に開発したものであっても、相手の権利範囲内であれ雌害になります。特許権は著作権と異なり、独占排他的な(すなわち技術を独り占めできる)きわめて強力な権利です。
特許権の存続期間は、出願の日から20年です。この期間が経過したあとは、誰でも自由にその発明を利用できます。

ソフトウェアは特許となるか

作品なら読めますし、絵画なら鑑賞できます。しかし、すべての情報が0と1で表された「任意のビット列の並汎のどこが著作物なのか、素朴な疑問です。著作権法はもともと「表現物」を保護する法律であって、「アイデア」を保護する法律ではありません。表現物」と「アイデア」の違いは、たとえばディスプレイに縦横のマス目を表示し、数字が入力されると合計値や平均値を自動的に表示する、これがアイデア(アルゴリズム)です。

アイデアの表現方法はたくさんあります。同じアイデアでも、プログラマが100人いれば100種類のプログラムが作成されます。
著作権法は、このアイデアを利用してプログラマが作成したプログラムリスト(表現物)しか保護しません。ソフトウェアの本質は、そのアイデアにあるとも考えられます0 そこでアイデアを保護するため特許法の適用が求められ、特許庁では審査基準を変更することで対処することになりました。
現在は、ソフトウェアの保護は、著作権法と特許法による二元保護体制がとられています。同じソフトウェアでも保護する村象(プログラムとアルゴリズム)が違うのですから、著作権法と特許法はうまく住み分けをしています。