リスク管理としての法的対策

インターネットセキュリティは「知的財産」をいかに守るかが最大の焦点です。この「知的財産」、カタチがないゆえにつねに危険にさらされています。
「カタチのある財産」は、その権利者が利用していれば他人は利用できません。しかし、営業秘密のような「カタチのない財産」は、いったん他人に知られてしまうと、権利者と同様に利用できます。また、情報のデジタル化によつて複製も簡単で、オープンネットワーク上では一気に広がってしまいます。

知らなかったのいいわけは通用しない

インターネット犯罪は「犯人の罪の意識が希薄だ」とよくいわれます。確かに、リアルな世界でダイヤモンドの指輪を盗むのと違い、バーチャルな世界で他人の財産を勝手に利用しても、犯罪を犯しているという実感が湧かないのかもしれません。

実際に起こった事例をみると、その大半は、一般市民による(天才的なクラッカーによる犯罪はほとんどありません)、単純かつ悪質(罪の意識が薄いのが特徴です)な犯罪がほとんどです。

逆に捕まえてみると、犯罪者たちはとても協力的で、自分に不利な事実についてもペラベラとしゃべります。つまり、自分がどんなすごいことをしたのか、どんなすごい技術を持っているかを誰かに知ってもらいたいだけの「犯罪者」と、知識がないかあっても面倒くさいと当然やるべき対処をしなかった「被害者」との間の問題が、インターネット犯罪のほとんどなのです。

「法律」は、もし犯罪が起きた場合、このような「犯罪者」と「被害者」のバランスをとるために存在します。国による強制力がともなう「法律」の前では、「犯罪だなんて、知らなかった… 」では済まされません。

ちょっとした法律の知識がなかったために犯罪者の烙印を押されてしまうこともあれば、ちょっとした法律の知識がリスクを事前に回避し、被害者にならずに済むことだってあります。結局は、情報を扱う人間の問題なのです。

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