ハウジングホスティングサービス

企業には、インターネットのホームページ、電子メールなどを利用した情報の発信は欠かせません。しかし、インターネットを実際のビジネス活動に有効に活用すればするほど、専用回線などの設備投資やシステム管理者の育成・雇用のためのコストが大きくなります。こういったジレンマを解決してくれる新しいアウトソーシングサービスが、ハウジングやホスティングです。

ハウジングやホスティングはセキュリティ対策に有効

「ハウジングサービス」とは、ユーザーが用意したサーバーをベンダーのハウジングセンターに設置し、ベンダーの接続回線だけを借り受けるものです。つまり「場所貸し」です。必要なハードウェアやソフトウェアはユーザーが用意し、運用・管理もユーザーが行います。

一方「ホスティングサービス」は、ベンダーが用意したサーバーと接続回線を借り受けるもので、1 ユーザーが1 台のサーバーをまるごと借りるタイプと、複数のユーザーで1 台のサーバーをシェアするタイプがあります。ホスティングサービスでは、サーバーやソフトウェアの管理・運用をすべてベンダーが処理しますので、ユーザーはコンテンツを用意するだけです。面倒なことはすべて専門家が受け持ってくれます。さらに1ユーザー1サーバーのホスティングでは、cgiスクリプトの利用などユーザーの希望に応じたきめ細かな設定が可能です。

ハウジングやホスティングを利用する最大のメリットは、ベンダーが用意した太い接続回線を、自前で専用回線を引くよりも安価に利用できる点にあります。ホスティングを利用すれば、サーバーを運用するための物的・人的資源を抑えられます。ホスティングサービスの利用は、セキュリティ対策においても大きなメリットがあります。

セキュリティ情報の収集、クラッキング対策、ファイアウォールの運用・管理、セキュリティホールの修復、ソフトウェアのバージョンアップ、アクセスログの収集・解析などのセキュリティを施すためには多くの物的・人的資源を必要としますが、これらの対策をすべて専門家であるベンダーが行います。ベンダーの回線を利用することで、サーバーダウンの心配がなくなることを考えると、ホスティングサービスの利用はセキュリティの要素である「可用性」「保全性」を大幅に向上させることになります。

企掛こよってサービス内容はいろいろ

最近ではホスティングサービスを提供する企業が、雨後の筍のように増えてきました。接続回線の伝送速度のよさを売りにしたインターネットプロバイダや、ウェブコンテンツの作成までを含めたサービスを展開するコンテンツプロバイダ、LAN構築の延長線上のサービスとしてホスティングサービスを提供するSIベンダーなど、さまざまな企業がこの分野に進出しています。

特に最近は、インターネット上で種々のアプリケーションをサービスとして提供するアプリケーションサービスプロバイダASPが注目されています。インターネットの進展により、現在ではワードプロセッサや表計算ソフト、企業の基幹業務を担うアプリケーションまでがウェブ化されています。このようなソフトウェアをクライアントにインストールせずに、ウェブブラウザだけですべての作業を行えるアプリケーションをホスティングするベンダーがASPです。今後は、すべてのアプリケーションがインターネット上のサービスへ移行する傾向にあります。

借用できるベンダーの選択が大切

ホスティングの利用は可用性・保全性をを向上させますが、もうひとつのセキュリティの要素である「機密性」についてはどうでしょうか○ホスティングを利用する場合、情報資源はすべてベンダーの管理下に置かれます。なかには、きわめて重要な基幹情報が含まれているかもしれません。しかも、情報資源へのアクセスは、オープンなインターネット回線を通じて行われます。

自社のインフラの一部をベンダーに任せてしまうのですから、機密性やサービス内容の観点からも、ベンダーの選択には十分に気をつける必要があります。満足のいくサービスを受けられない場合には、サービス内容の変更やベンダーの乗り換えも検討すべきです。変更や乗り換え、撤退が容易なのも、ホスティングサービスの魅力のひとつです。